ハーフタイムは親子でベガッ太と一緒にベガルタキッ~~~ク!!!
のんびりとした雰囲気の中、後半が開始。
エンドが交代してもベガルタの攻勢ペースは変わらず。水戸陣の広大なスペースも相変わらず。
もはや全く失点の気配すらしないし、あとはこっちが何点取れるかだけだな~と思っていた62分、再び「彼」が歓喜を与えてくれる。ヨゼフ・ガスパル、伊達にスロバキアU-17&五輪代表に選ばれていたわけではないぞという、その片鱗を見せてくれた。得点は再びシルビーニョのCKからのヘッド。
やはり、母国がEUに新規加盟して気分も良かったのだろうか? しかし統合効果がこんなに早く出るとは…ってんなわきゃないか。
そして得点以上に僕が感動した、というか見直したのは彼の「素顔」。あんなに熱く自分の感情を表現する人間だとは思わなかった。優しげな笑顔と上気した眼差し。僕の中ではこれで、
スロベニア<スロバキアは決定(なんだそりゃ…)。
ただ、そこからまたいつもの悪い癖、「得点直後の失点」が発生。こちらの右サイドを水戸の左SB伊藤に自陣から一人で延々とドリブルされ、最後は簡単にラストパス、しかもあっさり磯崎に決められる。この時だけ仙台と水戸(=かつての仙台)が摩り替わってしまっていた。集中力の欠如とドリブルへの弱さはもはやお家芸か? 人数は充分に足りていたのだから、人任せにせず、少しでもコンタクトプレーに行けば防げた得点だった。
この辺が
「甘い」。
しかし、勝勢そのものは揺るぐこともなく、65分、再び村上がミドルを放ち、CKを得る。ここで、先の2得点ですっかりサポーターの心を掴んだガスパルが再び前線へ、それに対してサポーターはハットトリックを要求する「ガスパル!」コール。
さらに面白いことに、この一連のプレーの間に「ガスパル!(がすぱる!)ガスパル!(がすぱる!)」という掛け合い応援がサポーター席から自然発生的に始まる。広島カープの立ったり座ったりしながら選手名を連呼する応援を思い出してもらえると解りやすいかもしれない。彼自身は惜しくもゴールを決められなかったが、この「ガスパル!(がすぱる!)」コール、次もあるのかな???
さて、73分には、足の不調から今シーズン初めてスタメンを外れた財前宣之が満を持してピッチに投入される。「軽い」プレーが多い、運動量が少ない、フィジカルが弱い、ヒゲが濃い、歌がうますぎ、、、なんだかんだ言われることも多い財前だが、誰が何と言おうがやはりベガルタの
「背番号10」は彼しかいない。ベガルタと改称した初年度(1999年)から在籍しているのはもう財前と千葉直樹だけになってしまった(直樹はブランメル時代からだからもっと凄い)し、そういう意味からも、齢未だ27にして「ベガルタ仙台」の全てを見てきた男である。あの大分戦での靭帯再断裂の映像は今も見るに耐えないし、その後の復帰と平間、伊藤卓とのポジション争い、テル、山田との黄金の中盤の形成、京都戦の歴史的J1昇格ボレーシュート…全ての歴史を体験しながら彼は今再びJ2のピッチに立っている。
好きな選手はロベルト・バッジョ、デル・ピエロ、パブロ・アイマール。そうした「自由」をこよなく愛する奔放な彼だが、なぜか「規律」で選手を縛るのが大得意なベルデニックから(今のところは)最大限に好まれている。ベガルタ七不思議(そんなにないかな?)の一つだ。仙台での岩本や西谷、また名古屋でのウェズレイとの軋轢のように、天才肌で意外性を体現しようとする選手、また自我の強い選手との対立を繰り返して来たベルデニックが何故ここまで財前を重宝するのか? う~ん、確かに彼はマジメに監督の話は聞くし、今年は特に守備にも一生懸命ではあるが…。試合中にも「ザイゼン!」という声がマイクを通じてよく聞こえてくる。報道等を見る限り、財前は監督へ意見「上奏」も度々行っているようだが、不思議とベルデニックは
財前に関する限りはそうした言葉を真摯に受け止めている。
はてさて? 一体これはなんなんだろう? 若年時のイタリア留学やスペインリーグ、クロアチアリーグ所属の経歴がそうさせるのだろうか??? リフティング選手権やらせたら優勝しそうなボール扱いの上手さに惚れたのだろうか??? まぁ、ザイファンの僕としては、何にせよ使ってくれるのは嬉しいのだけれど…。
財前は今日も自由にピッチ上を駆け巡り、右へ左へ、前へ後ろへと楽しげに芝生の上を躍動する。WBの時の渋い顔が嘘のように、楽しそうにボールを要求し、また自分から貰いに下がってくる。ボールタッチが多い方が彼の特性が活きるのを自分でもよく自覚しているのだろうし、単純にボールにたくさん触りたいだけかもしれない。
今日は直接得点に絡むことは無かったが、左45度、彼の最も好きないわゆる「デル・ピエロゾーン」からゴール逆サイドへカーブを掛けて巻き込むシュートも見られたし、個人的にはまずまず満足。
ホントにベルデニックは何故右WBでの起用に偏執、固執していたのだろう? 解せない…。
さて、試合に目を戻すと、75分、もはや試合を完全に決定付ける4点目が入る。
右サイドでの展開から怪我明けフル出場で頑張っていた中原がまたまたフリーになりシュート!!……を見事にダフった!!……のがちょうどこれまたドフリーで走りこんだ大柴の足下へ。右足に当てるだけの「ごっつぁんゴール」で彼もベガルタ初、1年半ぶりの得点!!! サポ席では得点時の凱歌「シャンゼリゼ」の連発でこのゴールを祝福。こんなに余裕を持って試合を見られるのも久しぶりだ。
さらに、続けて試合終了間際には西谷とリャン・ヨンギの連続投入。西谷についてはもはや説明不要かもしれないが、技巧的ドリブルと飛び出しを得意とする攻撃「オンリー」MF。当初はトップ下予定でキャンプを過ごしていたが、個人プレーに走りがちなところがズデンコの癪に触ったのか、完全に衝突して最近はすっかり干され気味…な選手。後でTV実況を確認したらTBCの大井アナが「前節後、久々に監督が西谷と会話しているのを見た」うんぬんと語っていて、おいおいって感じ。いくら嫌いでも話合おうよ、お互いにプロなんだから…。でも、僕はそんな西谷が好き。
一方のリャンは阪南大出身のテクニシャンで昨年、一昨年と2年連続で関西大学リーグのMVP。さらにはリーグ得点王、アシスト王にもなっており、また外国人枠にも引っ掛からないということで、
「何でこんないい選手が来てくれたんだ?」という選手の一人。
僕は左の秋葉、右のリャンが昨年までのテル、ザイの後釜に座るようになればいいなと密かにイメージを抱いているのだが果たして2人ともそこまで成長してきてくれるか…。
しかし、このテクニシャン3人の共存に僕が胸をときめかせたのも束の間、遅れて入った西谷とリャンはこれといった効果的なプレーを見せることも無く、あっという間にロスタイム。特に西谷はボールタッチそのものがままならない部分もあり、実戦不足な感は否めなかった。まぁ、彼らのファンタスティック(且つリスキーでもある…)なプレーを楽しむのは次の機会に譲りましょう。
とにかく、みんな
あんまり監督と対立しないでね! マジで頼みます。
そして、試合は、そのまま、まったく危なげ無くタイムアップ!!! やった!!!
ホイッスルと同時に一気に歓喜の輪が広がり、黄金の集団から雄叫びが沸き起こる。選手がスタジアム一周して挨拶をする中、選手一人一人を労うコールが控え室へと選手たちが消えるまで続く。僕も最後まで声を限りに彼らへの賛辞を込めたコールを叫び続ける。
ヒーローインタビューを終えて登場したガスパルにはまたまた、掛け合いでの「ガスパル!(がすぱる!)ガスパル!(がすぱる!)」コール。これはちょっと当分はまりそうだ…。あの人懐っこそうな笑顔と頑張って日本語で挨拶しようとする姿勢にもちょっとばかりやられたし…。
ただ、今日の試合内容を厳しく総括するなら、「とてもじゃないが、J1レベルには程遠い」。端的にはこのように述べざるを得ない。
コールリーダーですら途中で「何かマッタリしてんぞ!」、「マッタリ行くか!」と言い出してしまうほどの「ゲーム密度の低さ」に関しては無論のこと、監督の選手起用法や守備重視戦術に対してのモヤモヤも未だに晴れ間は見えてこない。昨年まで、負けつづけたとは言え、J1で華々しく戦っていた姿を見ているだけに、現在のチームがこのような閉塞した状況に陥っているのは少々残念でもある。
それに、結果こそ確かに4-1だったが、本当にベガルタがチームとして機能し始めたと言えるのかどうかは、この試合内容だけでは判断がつかないところだ。J1に上がるのならこれくらいの結果を出して至極当然の相手だったし、本来ならあと2、3点は取ることが出来た試合だった。
「下位チームに1勝しただけ」という、この取り敢えずの結果に満足しているようでは、まさにJ2に定着していくチームになってしまう。そもそも、J1に上がると公言している以上、本来ならば
「勝ち続けて当然」なシーズンである訳なのだから…。
僕自身としても、一つ一つの勝利に舞い上がり過ぎないよう、充分に心を戒めつつ、今後も冷静に且つ熱く応援していきたいと考えている。
では、最後に、本日の私的MOMを発表したい。それは遅れてきた原石「小原章吾、背番号4」である。
確かに、今日は得点を決めたし、守備も破綻させなかったし、いろいろな意味でガスパルもマジ最高!!ではあった。そして右サイドMFの中田洋介もガンガン突破を見せるなど、非常にキレていた。しかし、冷静に今日の試合を振り返った時、僕の中でベストプレーヤーを一人挙げろと言うならば、それは間違いなく小原だ。
開幕以来、小原をサブ、もしくはベンチ外に置き、数馬の起用にこだわり続ける監督に僕は延々と疑念を呈していたのだが、それが正しかったことも、今日、改めて確認できた。
そもそも僕はマンマークが大嫌いな戦術であるので、ゾーンディフェンス向きで読みが鋭く、また足元の技術が確かなDF(端的に言うなら、守備的ボランチもできるようなDF、リカルドのような…これまたベ・マニアックな人選ですね。え~っと、阿部勇樹のような…)を好む傾向があるのだが、小原はそうした僕の理想にマッチする選手だった。パスとフィードはある程度安心して見ていられるし、無駄なプレーを省き、機を見ては前線へオーバーラップして行く。トルシエフラット3時の中田(浩)を思い出してもらえると解りやすいと思う。まだ21歳にして、既になかなかの完成度を持った選手であるように感じる。
事実、昨年には、オリンピック代表にも選ばれており、カタール遠征では、本人自身、代表定着に手応えを感じていたという。しかし、そこで患った右足小指の骨折が響き、その後は非召集のまま。現在ではオリンピック出場は厳しいものとなってしまったが、順調に成長していけば井原、宮本レベルになるのも決して不可能ではない選手だろう。
さぁ、こうして久々の観戦も無事に終了と相成りました。それではこの快勝を夜空に輝く父母なる星「ベガ」と「アルタイル」に捧げつつ、最後に大声で叫びたいと思います。
「仙スタはやっぱ最高だ~~~!!!」
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…っと、以上、観戦記としていろいろ書いてきましたが、何にせよ、次の大宮戦で取り敢えずは「全て」が判明すると思います。
そして、ベガルタサポーターとして僕が「これからのベルデニック」に判断を下すのは、そこまでは取り敢えずお預けにしていたいと思います。
ただ、、、
監督としてのズデンコを心情的に「好きではない」のはもはや変えようがありません。
昨年来、彼の言動やその方針、また戦術眼の無さ、不可思議な選手起用には幾度も幾度も憤慨、憤怒させられてきましたし…。
これまでの記事の中でも何度か触れてきたことではありますが、彼の招聘後、現在に至るまで、ほぼ全ての面で「大失敗ばかり」であったことは厳然たる事実です。これは弁明のしようがありません。
そもそも彼は、チームやクラブが今どうなっているのか、そしてどうすべきなのかといった根本的なことに
「気付くのが余りにも遅すぎ!!!」です。
臨機応変さや「サッカー勘」がとことん欠如しているというか…。
もう素人目にも呆れ返っている人は多いと思いますが、何故ここまで戦術眼が無く、戦略を読み解く視野も狭いのか? いや、「狭く見えてしまう」のか? その要因は、彼が持つ有り余る知識と知恵を用いる「時と場所」を取り違えているからに他ならないのではないでしょうか?
彼の持っているサッカー理論は確かに素晴らしいものです。けれど、それをどこにどう適用すべきなのかを見抜く才能、つまり「気づき」の能力にズデンコは非常に欠けているように感じます。
「気付くのが遅い」⇒
そして気付いた時には「手遅れになっている」⇒
だから「付け焼き刃の采配しかできない」。
それが昨年来、これまでの仙台に於ける彼の指導ぶりと言っていいと思います。なぜフロントはJ2降格間近という切羽詰まったあの時期に即効性の期待できないベルデニックを招聘してしまったのか???…もう言うのは止めますが、お互いに非常に「不幸」なことでした。
正直、もう一度リュブリヤナ大学の博士課程に戻って、学生相手にコーチングライセンス学の講義でもしていた方が、彼の頭脳を活かすためには合っているのではないかとも思います。実践よりも理論がお似合いな監督の典型ではないでしょうか?
「ベルデニックがチームを作るのには時間がかかる」、「だからもう少し我慢しよう」、そう言う人は多いです。でも、今の僕はそれを決して否定はしませんし、寧ろ積極的に肯定しています。それは、至極当たり前のことを言っているだけだと気付いたからです。
「普通の監督が3ヶ月でできることに半年も1年もかかる監督」なのですから…。そりゃ時間がかかるのは当然のことですよね。
また、名古屋時代は負けはしないものの異常に引き分けが多い監督として有名でしたが、スロベニア代表監督時代の戦績も32試合10勝8敗
「14分」。1つの勝利による勝ち点が「3」となり、負けない監督より勝つ監督が名将とされる現代サッカーに於いてはちょっと心配になるようなデータも彼は持っています。
ホームの観客が減ってきた要因としても、勝つ勝たないという結果以上に、何よりも「クラブ」や「チーム」そのものからサポーターに発信する「魅力」がどんどん薄れてきていることが大きく作用していると思われます(去年は負け続けても満員だった訳ですし…)。
そもそも、選手との不要な対立を繰り返し、能力、実力のあるプレーヤーを起用せず、練習中に反目した選手とは会話もせず…そうした「意地」のために一体、何試合を失ってきたのか? さらには、そうして選手のモチベーションを下げ続け、何人の選手を不本意にプレーさせてきたのか? そして、その結果はどうだったというのか?
これは岩本や福永、西谷らの例を上げるまでもなく、昨季、継続して起用し続けた根本ですら、昨季最終戦のあの位置での起用にインタビューで違和感を表していたことからも明らかなことです。
けれど、そうは言っても、、、
過去をいくら振り返っても仕方がありませんし、全く意味もありません。それに現状の、そしてこれまでの選手、コーチたちの必死な頑張りを見たら監督を「嫌い」になることは決してできません。それはチームの負けを望むことになってしまう訳で、クラブを愛するサポーターとしては無理なことです。
それに、今回、実際に90分間テクニカルエリアで指示を出し続ける監督の姿をスタジアムで目にしたら、不本意ながら(!?)ズデンコを応援せずにはいられませんでしたしね…。
絶対に「好きにはなれない」、だけど
「絶対に嫌いにもならない」。そう僕は心に決めました。それはもちろん監督のためではなく、「選手のため」、「チームのため」、「クラブのため」。今は嫌なことも含めて「丸ごと」応援していこう、そう考えています。
いずれにせよ、これからは、今までのマイナス分を少しでも取り返せるだけの「成功」(大成功でなくてもいいから…)が果たして有り得るのかどうか? そこを見極めながらベガルタを見ていくつもりです。
そして、その「成功」を獲得するための選手は充分に揃っています。それは、中原、萬代、中田、小原といった現在、試合に出ている成長株だけではなく、僕がサテライト組で特に期待を寄せている秋葉、リャン、樋口、大久保なども同様です。
こうしたテクニックのある、戦術に囚われない個性派の若手がどんどん出てきて、いい意味でベルデニックを困らせていって欲しい、そしてベルデニックも彼の戦術を個人個人に合わせながら、少しずつでも「自由」を与えていってもらいたい、要はもっとゲームを楽しむ
「遊び心」を持って試合に当たって欲しい。僕は今、そう願っています(特に秋葉のFKが早く見たい!!!)。
そして、そうした兆しは、事実、財前を右WBから解放し、直樹と小原をスタメンで使い始めたあたりから、僅かずつではありますが見え始めているような気もします。
とにもかくにも、次の大宮戦です。ここで今季の運命がある程度見えるでしょう。
ちょっと今回は(も?!)ズデンコに厳しい意見を浴びせましたが、彼には異論反論、色んな見方があるでしょう。でも、僕は敢えて苦言を呈していきたい。もし、彼に苦言すら出なくなったならば、その時には仙台スタジアムはきっと1万人割れしているでしょう。
by El Stupa